民宿 焼き畑。
2014年 10月 25日
西米良から椎葉村へ、この林道を通るのは実に35年ぶり。
当時、道は舗装されておらず、崖にはガードレールも無いような
絶壁の道が続き、まさに命がけで行く秘境の集落だった。

道は舗装され、危険を感じる場所はほとんど無かった。

それでも所々に崖崩れの跡があり、信じられないような所に
砂防ダムが造られていた。


山間部にぽつんぽつんと集落があり、人間のたくましさを
感じると同時に、自然の壮大さに恐れ入った。


椎葉村に着いたら、椎葉クニ子さんを訪ねてみよう。
ふと、途中で思いついた。

「椎葉クニ子さんの民宿はどこですか?」
閉まりかけた観光案内所で訊くと、慌ただしい中を若い女性が
地図まで持ってきて教えてくれた。
上椎葉という場所にあり、さらに40分程かかるという。
時間は16時だったので、まだ大丈夫だろうと、向かったが
途中で道路工事の足止めで、40分待たされた。
所々に民宿焼畑と看板があるが、何度も道に迷い、
人に尋ねながら、やっとたどり着いた時には日が
暮れていた。

家の中には沢山の宿泊客がいる様で、慌ただしい雰囲気だった。
戸を開けてご主人らしき人の声をかける。
「宿泊ではありませんが、
外観だけでも写真を撮らせてもらえませんか」?
「暗かけど、大丈夫ですか」?
「はい、なんとか」。

室内から宿泊客のにぎやかな笑い声が、山の彼方にこだましていた。

撮影が終わり再びご主人を訪ね 「ありがとうございました」。
というと、「ばたばたで、何のおかまいも出来ず申し訳ありません」。と
優しげに答えられた。
「突然お邪魔したのはこちらの方で」。と、恐縮し
「今度は、ゆっくりと泊まりに来ます」。と焼畑を後にした。
その後、ねぐらを探しうろつていると、
杉林の伐採後に空き地があったので、
そこに車を止めて車中泊。
標高900メートルを超える山の中。
手が届きそうな場所で、星が無数に輝いていた。