酔眼的日常を写真日記でつづります。リンクフリーです。写真の無断転用は禁止致します。


by whosanf

平野虎丸氏山口県土砂災害検証、同行の記録 。


8月3日早朝。

先週大分県狭間で行われた平野虎丸さんの講演会で深く感銘を受けた私は、

(平野さんの活動で何かの役に立てたら)と言う気持ちで、

山口県防府市で行う土石流災害地検証の現場へと向かった。

途中携帯で平野さんに直接その事を告げると、

聞き覚えのある優しい声で、現地で会いましょうと告げられた。

平野さんは、検証の同行取材ををマスコミ9社に対して事前に告知いました。

指定した場所は、今回の土石流災害で7人の犠牲者が出た(ライフケア高砂。)

で時間は午前11時からとなっています。


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1時間程早く到着したので周辺を一回りしてみました。

濁流が流れ込み土砂が積もった室内。

巨石に押しつぶされた数台の車。

日常をかけ離れた悲惨な光景が、あちらこちらに点在し、

はじめて見る悲惨な光景に身がすくんだ。



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緑に囲まれた里山の平穏な場所は日本の山間部では何処にでもある風景だろう。



終の住処として選んだこの場所で、犠牲になるとは誰も想像し無かっただろう。



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現場近くで立ち話をしていた3人おばちゃんの話を聞いた。

崩落のあった山には以前赤松の木が沢山生えていて、

松茸が沢山とれていたそうだが、かなり前に害虫が発生し、

赤松が全て枯れたと、言っていた。




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指定の時間になっても取材は現れなかった。

気落ちしたように「残念ですね!」と平野さんは一言。

気を取り直し、私を含める同行の4人は災害の痕跡をたどり、

その起点を目指した。


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被災地から100メートル上流、杉や檜が点在する雑木林には小さな樹体

には不釣り合だと思える程たくましい根っ子が土石の激流の中でも倒れずに

踏ん張続けた姿を留めており、たくましさに感動した。



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雑木の茂みが激流で押された木を受け止め、流れの方向を変えていた。

ここで流れが変わっていなければ、流れの本流は下流の民家を直撃し、

ライフケア高砂に土石流は向かっておらず、生死の分岐点となった。



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両岸に杉林があるこの辺りの川幅は相当広くなっていて、巨石がゴロゴロころがっている。



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被災地から400メートル地点に破壊された砂防ダムが在った。

ダムのすぐ上流に名所の「金比羅滝」が在り、砂防ダムを造るには、

滝から落下する水圧の高い流れを受けるために不適切な場所である。と

平野さんは指摘した。



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被災地から600メートル地点。

二つの流れが合流する場所があり、幅の広い右の方に向かった。




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先入の調査員により被災地からの距離が岩肌にスプレーで記されていた。




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再び流れの合流地点が在り、右側の杉林が崩落の起点だとわかったため


その方へ進んだ。

歩き始めて3時間、距離900メートル。

一枚岩の上を流れる清流の一角に涼しそうな木陰があり、

そこで少し休憩した。

その場所から右を見ると、水に洗われ貧弱な根をさらけだした

杉木立があった。

それを見て平野さんが

「流水の近くには流れに弱い杉は植林しないのが林業家のj常識だが、杉の木が

水を好むので成長が早く安全性を無視して水辺に杉を植林する愚かさを

目の前にある教材で教えてくれた。



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さらに上龍に向かう。


川幅は極端に狭くなり、流れの両側はは雑木林で赤土の地面はかなりの水分を

含んでいるため歩行が出来ず、道のない薮の急斜面に分け入った。



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平野さんは藪の中、野生児と化してズンガズンガと突き進すむ。

長年の経験と、秘められた体力に圧倒される。

しかし、(時には引く事も大切なんですよ。)

山道を人生にたとえ、シダの葉が生い茂る中でつぶやいた。

切羽詰まった状況だけに身にしみる言葉だ。

出発から4時間。


二人とも汗で洋服が水を浴びたように」体に張り付いている


木の間から谷川を覗き込むと、土がむき出しになっている崩落の起点が見えた。

その場所は雑木林だった。

平野さんは100分の3くらいの確率ですと言いながら、目を凝らし観察しています。

「原因はこれです。」

崩壊した場所に朽ち果てた赤松が林立していた。

その根っ子見ると、朽ちた根っこのすき間がひび割れた様になっていて、そこから雨水がしみ込ん

だのが崩壊のきっかけになったんです。

と、言った。

同じ様な場所が他にもいくつかあった。

下でおばちゃん達が言っていたように、この辺りは赤松林だった。

赤松を食い荒らした害虫は、日本の製紙工場が在る八代港から外材について入ってきたそうで、

日本製紙はパルプの原料として九州にあった照葉樹林を根絶やしにした元凶でもあるそうだ。




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下に戻って来た。

民家の間から先ほど行ってきた災害起点が遠くに見えした。

山の木が全て雑木林だったならここまで悲惨な災害にはならなかった。

もし全部杉林だったら流れはここから見える民家を直撃しもっと被害は拡大していただろう。

片付けの作業に追われる民家を訪ねた。

そこに居た若い男性に、平野さんが見てきた事を話し、雑木林の大切さ、

杉林を植林する場合の適合性を手短に話していた。

男性は感心して聞き入った

親父にもいい話だから話してほしいと、家の庭先案内され、

親父さんに同じ話をした。

親父さんの反応は、息子とは逆で砂防ダムが貧弱だったから災害が

拡大したという解釈で平野さんの言葉には頭ごなしに反論した。


息子さんがとても申し訳なさそうに、平野さんのホームページをかならず見ますからと行った言葉

で平野さんも、私も救われた。



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車に戻ると5時半。

まだ明るかったので、他の災害現場に向かった。

先ほどの被災地よりも凄まじく破壊された光景がそこにあった。

言葉か在りませんね、平野さんは少しうなだれるようにつぶやいた。




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災害の規模は先ほどの真尾地区の数倍の規模です。

幸いな事に、ここではでは死者が出ていません。

井原と言う表札のある家のご主人の話を聞いた。

泥流がぎっしりと詰まったこの家の中で、

井原さんのお母さんは奇跡的に救出されたと言う。

「昔から親父がこの上流は土石流災害が頻発した場所で、

地名も滑原と呼ばれた場所ですからね。」

昨日、東京に暮らす2人の娘に、「この場所は捨てるよと告げました。」


平野さんに災害前の自宅の写真を見せながら、きっぱりと言われた言葉が、

心に残った。



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by whosanf | 2009-08-05 18:19 | 環境問題